サポート委員会からのお知らせ

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サポート委員会・あれこれ!2 点字の初めは懐中定規から

サポートバンクの皆様、及びボランティア活動に関心がある方!お元気でしょうか。2度目の文章を書かせていただきます。コロナ禍の勢いは衰えを知らず、生徒・教員一同、感染防止を第一に、細心の注意を払いながら、教育活動に励んでおります。先月は読み書きと点字図書整理などに協力をいただきました。ありがとうございます。

 前回の文で、沢山のボランティアの方々に点訳・音訳・テキストデータ化の支援をいただいていると書きました。点訳とは、普通文字の資料や冊子、本などを点字に起こす作業です。過去、ボランティアの皆様が少なかった頃、新刊本が出て、図書館で貸し出しできるまで点訳は早くて3~4ヶ月はかかったものです。連続シリーズの本は次のストーリーがどうなったか知りたくて知りたくて、まだかまだかと待ち望んでいて長く感じられたものでした。ひどいものは、シリーズが終了したにも、点字本はシリーズの途中でこれからと言うとき、ネタバレされがっかりすることもありました。

 音訳は視覚障害者に直接読み聞かせを行うか、その音声を何らかの媒体に録音することです。カセットテープって貴重品でしたね。ボランティアの方が音声を吹き込んで、勉強や趣味、新しい情報などいろいろ聞かせていただきました。

 テキストデータ化はボランティアの方がパソコンで、普通の文字の資料や本をテキストファイルやワードなどに起こし、視覚障害者もパソコンで文字を確認しながら読めるようにする活動です。これにもいろんな種類や、やり方があるので、デイジーの話も踏まえていつか書かせていただきます。

 今回は、点訳についてボランティアの方が手にする懐中定規について書かせていただきます。

 点訳ボランティア活動に関心がある方は社会福祉協議会か、点字図書館で主催する点字教室に参加され、点字を学ぶことが一般的かと思います。その後、地元のボランティアグループに所属したり、教育関連施設のグループに所属しいろんな点字のルールを身につけ、点訳活動を始めます。グループの先輩たちが新人の方が作った点訳資料を見て校正をし、意見交換しながら、新人は経験を積んでいきます。点字は読み通りに文字を書くので、助詞の[は]や[へ]が[わ]や[え]に書かなくてはならないこと、読み手が読みやすいように分かち書きを工夫したりとそれはそれは慣れるまで大変だと思います。

 いずれにせよ、点字教室で点字を学ぶとき、初めは懐中定規を使って六つの点字に慣れていただくことになると思います。一番一般的なものは6行32マスのものです。道具にこる方はいろんなものを買いそろえたりします。

 視覚障害を少しでも知っていただくために、社会福祉協議会や、作業所共同主催の祭りに点字をPR誌に出かけるとき、しおりや名刺に名前を書くことを体験してもらいます。そのとき活躍するのが、名刺用の懐中定規です。

閉じた懐中定規が4つ

 

開いた懐中定規が4つ

 写真は名刺用の懐中定規、一般的に使われる6行の懐中定規2個、アメリカ製の懐中定規です。

 名刺用は、上蓋をよく見ると縦の線が2本、途切れながら繋がっている横線が2本あります。普通の名刺のサイズなら、右側の縦線を基準に書き込めばちょうどです。横16~17マス、縦5行分の文字数となります。

 一番下の定規はアルミ製で、横27マス、縦4行のものです。日本製のものより、横に長いです。これはA4サイズの点字用紙を使います。マスとマスとの間も広く、点字も少し大きめです。日本人にはこの定規の点字は大きいですが、体格の大きいアメリカ人にはちょうどのようです。逆に日本の定規で書いた点字はアメリカ人にとっては小さくて読みづらいと聞きますので、その国によって点字も大きさを変えて発達したものですね。
 
次回も点字懐中定規の仲間について書かせていただきます。

サポート委員会・あれこれ!1 二つの点字タイプライター

サポートバンクの皆様、及びボランティア活動に関心がある方へ書かせていただきます。

 私どもの学校をはじめ特別支援学校は多くの方々のご助力やご支援、そして障害へのご理解により支えられています。地域の皆様からの声かけや周辺の道の整備、通学路に路上駐車の車があれば誘導していただき、生徒たちは安心して安全に通うことができています。また、沢山のボランティアの方々に副教材の点訳・音訳・テキストデータ化の支援、さらに生徒の教養を深める活動にもお手伝いをいただいています。教員一同大変感謝しております。
翻って社会全体に目を向けてみると視覚障害に対する理解はまだまだ不十分と思われます。そこで、不定期ではありますが視覚障害に関わる事や物の説明、ボランティア活動についてこれから時々お話をさせていただきたいと考えています。

 まず点字に関わる物、その中でも今回は「点字タイプライター」というものを紹介しましょう。現在タイプライターという言葉はほぼ死語になった感じがしますが、皆さんは使用したことがあるでしょうか。
 
文章を書こうとすると今ではスマートフォンやパソコンを活用しますが、その際に音声で文字を入力する方法もあります。しかし、30年前程には視覚障害者が普通の文字(墨字)を書こうとしたらタイプライターを使ってパチッパチッと叩くことが主流でした。タイプライターの専用紙は薄い紙で表はつるつる、裏は少しカサカサしています。表裏は触って見分けていました。あの頃は少しでも早く書けるように練習をしたものです。左手・右手でそれぞれの指を動かして、キーをなめらかに叩く練習です。1分間に300打!しかし、早く書くことも大事ですが自分で見て校正する訳にはいきません。何より誤字脱字が無いように正確に書かなければいけませんでした。

ただ上達したところで自分のノートには何の役にもたちません。いつの間にか練習も減っていきました。ここまでは、あくまでも一時期皆さんが使ったタイプライターを視覚障害者たちも使っていたと言うだけの話です。ここからが本題ですが、実は視覚障害者にも点字のタイプライターがあったことはご存じでしょうか。

 

カニタイプの点字タイプライター

 

ひとつは簡易的な点字タイプライターです。6点キーがあり、1マスごとにカチャッカチャッと点字を打っていく様子やカニに似た形から「カニタイプ」と言われていました。頑張ればなんとか手が届く値段だったので多くの学生たちに愛用されていました。また、中途で視覚に障害を負った生徒も、点字板を使うより点字が早く書けることからカニタイプを使用していました。

 

ナカムライター

 

 

もう一つは高級点字タイプライターです。仲村点字器製作所が製作販売したことから名付けられた「ナカムライター」というものがありました。これは紙を挟んでいる箇所が動き、入力する側は同じ姿勢で打てるという長所があり、かなり速いスピードで点字が書けました。こちらはかなりの高級品で持っている視覚障害者は少なかったです。デザインも格好が良く持っているとみんなの羨望の的でした。

 この2つのタイプライターの写真は日本点字図書館のふれる博物館から提供していただきました。2021年4月17日まで行われていた〈第7回企画展「創立80周年記念企画 日本点字図書館の歴史にふれる」〉で展示されていたものです。

 詳細は、以下のURLを参考にしてください。

https://www.nittento.or.jp/about/fureru/news_20201111.html