2021年6月の記事一覧
サポート委員会・あれこれ!1 二つの点字タイプライター
サポートバンクの皆様、及びボランティア活動に関心がある方へ書かせていただきます。
私どもの学校をはじめ特別支援学校は多くの方々のご助力やご支援、そして障害へのご理解により支えられています。地域の皆様からの声かけや周辺の道の整備、通学路に路上駐車の車があれば誘導していただき、生徒たちは安心して安全に通うことができています。また、沢山のボランティアの方々に副教材の点訳・音訳・テキストデータ化の支援、さらに生徒の教養を深める活動にもお手伝いをいただいています。教員一同大変感謝しております。
翻って社会全体に目を向けてみると視覚障害に対する理解はまだまだ不十分と思われます。そこで、不定期ではありますが視覚障害に関わる事や物の説明、ボランティア活動についてこれから時々お話をさせていただきたいと考えています。
まず点字に関わる物、その中でも今回は「点字タイプライター」というものを紹介しましょう。現在タイプライターという言葉はほぼ死語になった感じがしますが、皆さんは使用したことがあるでしょうか。
文章を書こうとすると今ではスマートフォンやパソコンを活用しますが、その際に音声で文字を入力する方法もあります。しかし、30年前程には視覚障害者が普通の文字(墨字)を書こうとしたらタイプライターを使ってパチッパチッと叩くことが主流でした。タイプライターの専用紙は薄い紙で表はつるつる、裏は少しカサカサしています。表裏は触って見分けていました。あの頃は少しでも早く書けるように練習をしたものです。左手・右手でそれぞれの指を動かして、キーをなめらかに叩く練習です。1分間に300打!しかし、早く書くことも大事ですが自分で見て校正する訳にはいきません。何より誤字脱字が無いように正確に書かなければいけませんでした。
ただ上達したところで自分のノートには何の役にもたちません。いつの間にか練習も減っていきました。ここまでは、あくまでも一時期皆さんが使ったタイプライターを視覚障害者たちも使っていたと言うだけの話です。ここからが本題ですが、実は視覚障害者にも点字のタイプライターがあったことはご存じでしょうか。
ひとつは簡易的な点字タイプライターです。6点キーがあり、1マスごとにカチャッカチャッと点字を打っていく様子やカニに似た形から「カニタイプ」と言われていました。頑張ればなんとか手が届く値段だったので多くの学生たちに愛用されていました。また、中途で視覚に障害を負った生徒も、点字板を使うより点字が早く書けることからカニタイプを使用していました。
もう一つは高級点字タイプライターです。仲村点字器製作所が製作販売したことから名付けられた「ナカムライター」というものがありました。これは紙を挟んでいる箇所が動き、入力する側は同じ姿勢で打てるという長所があり、かなり速いスピードで点字が書けました。こちらはかなりの高級品で持っている視覚障害者は少なかったです。デザインも格好が良く持っているとみんなの羨望の的でした。
この2つのタイプライターの写真は日本点字図書館のふれる博物館から提供していただきました。2021年4月17日まで行われていた〈第7回企画展「創立80周年記念企画 日本点字図書館の歴史にふれる」〉で展示されていたものです。
詳細は、以下のURLを参考にしてください。
https://www.nittento.or.jp/about/fureru/news_20201111.html